「カルト」はすぐ隣に オウムに引き寄せられた若者たち 岩波ジュニア新書

自身もオウムに襲われたことがある江川紹子さん著。

普通の、善良な人々が何故オウムという新興宗教団体に加わり犯罪を積み重ねて行ったか、その背景が書かれている。

「私たちは、サリンを作ったりとか、サリンをばらまいたりとか、人の首を絞めて殺したりとか、そういうことのために出家したんじゃないんです」。地下鉄サリンの実行者である中川智正が麻原公判でかつての教祖に言った言葉が引用されていたが、この言葉に集約されていたようにすら感じた。カルトに入ってしまう人は、人から言われた言葉を真面目に受け止めて考えてしまうとのこと。第5章「引き寄せられる前に」で書かれていた、マインドコントロールに関してや、日本書紀にすでにカルトらしき団体が存在していた点など興味深かった。また、ダライ・ラマ法王が言うカルト見分け方「Study」と「Learn」の違いの説明はなるほど~と呻ってしまった。

岩波ジュニア新書だが全世代向けだと思う。